コーヒーのブログ

コーヒー・カフェについてシェアしたく。

コーヒーの98%は水でできている。将来のコーヒー屋の新たな切り口

 

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水自体が無味無臭なものという認識が強いせいか、あまり気にしない存在となることも多いですが、水のコーヒーに対する影響は、かなり大きいようです。

なぜそういえるのか、そして、コーヒー屋は水を気にすべきかどうかについて考えてみたいと思います。

 

 

コーヒーの98%は水でできている

ワールドバリスタチャンピオンシップ2014年でイギリス代表Maxwell Colonna-Dashwoodバリスタが水について非常に興味深い話をしていました。

よく考えてみれば、液体のコーヒーというのは、水とコーヒー豆の成分でできています。

コーヒーの世界大会の水のスポンサーでもあるBRITAいわく、コーヒーは、98%は水でできているとのことです。

参照:BRITA Professional | News

 

水自体が無味無臭なものという認識が強いせいか、あまり気にしない存在となることも多いですが、この98%という数値をみると、水がコーヒーの風味に影響しないと考える方が難しいかもしれませんね。

 

コーヒーの世界大会でも活躍するBRITA

コーヒーの世界大会において、2012年から水のスポンサーとして活躍しているのがBRITAです。

BIRTAは、今年行われた2017年の世界ブリュワーズカップ(WBrC)や世界テイスターズカップ(WCTC)もスポンサーとして大会で使用される水を提供しました。

 

WBrC2016 水の責任者であるGary Norwood氏

2016年時点の記事で、その当時の責任者であるBRITAのGary Norwood氏に着目するというマニアックな記事を発見しましたのでシェアします。

Gary Norwood氏は大会で使用される水、および、その練習用の水を調達から調整、配達、配達時に使用する入れ物などの備品まで管理している責任者です。

2016年の世界ブリュワーズカップでは4700リットルもの水を準備したそうです。

Secrets Of Making Water For World Brewers Cup Championship

 

これだけは知っておきたい水の尺度"TDS"について

水の中に溶け込んでいる不純物の濃度の総計。
基本的には数値が低いものほど不純物が少ないことを意味します。
不純物というと汚いもののように聞こえますが、ミネラル分もこれに含まれるので、数値が高いものがよくないと一概に言えるものではありません。

引用:TDSテスターについて | MUDENKAI

TDS(Total dissolved solids, 総溶解固形分)というのは、簡単にいうと水の中に溶けている物質で水を乾燥させても固形として残る物質があり、その物質が水の中にどのくらい入っているのかを数値化して表現したものということですね。

なので、不純物なのかミネラルかなどの違いは設けていないのです。

したがって、数値が高い場合、不純物が多いのかミネラルが多いのかはこのTDSではわからないということですね。

 

世界ブリュワーズカップの水についてのルール

 

大会では水によるコーヒーの味のブレをなくすため、大会で使用される水に規定があります。

TDS: 85 mg/L (acceptable range 50-125 mg/L)」と記載がありました。

 

11.2 WATER

Competitors have the option to use the sponsored water or to supply their own brewing water.

The sponsored official hot water machine will be dispensing sponsored water only.

Competitors do not have the option of using their own water with the sponsored hot water machine.

The sponsored water will be calibrated with the following standard as the target:

Odour: Clean/fresh, odour free

Colour: Clear color

Total Chlorine/Chloramine: 0 (zero) mg/L

TDS: 85 mg/L (acceptable range 50-125 mg/L)

Calcium Hardness: 3 grains or 51 mg/L (acceptable range 1-5 grains or 17-85 mg/L)

Total Alkalinity: 40 mg/L (acceptable range at or near 40 mg/L)

pH: 7.0 (acceptable range 6.5 to 7.5)

Sodium: 10 mg/L (acceptable range at or near 10 mg/L)

 以下9ページ目11.2参照

http://www.worldbrewerscup.org/wp-content/uploads/2015/12/2016-WORLD-BREWERS-CUP-RULES-AND-REGULATIONS.pdf

 

そのため、TDS: 85 mg/Lを目指して、水を調整します。

ダブリンの水は91,92と比較的近かったから楽だったようです。

日本の水道水では、100から160程度のようです。

イタリアでは、TDS600と全然違う値ですので、いかに調整して水による影響を整えるかは重要になってきます。

同じBRIRAのWillem Huisman氏によって開発された特殊なフィルターにより、その調整が可能となるのですが、TDSだけではなく、カルシウムやナトリウム、pHなども調整しなければなりません。

さすが、プロフェッショナルですね。

 

 

水の影響は大きい

水の影響について別の角度から説明している以下の記事を元に、今後のコーヒー屋の進む一つの方向性も考えてみたいと思います。

Something in the water – Caffeine

 

水道水と市販のペットボトルの水で風味が全然違う

下記記事で2007年ワールドバリスタチャンピオンのJames Hoffmann氏が、おもしろいカッピングを上記記事の担当者に提供しました。

Something in the water – Caffeine

 

複数のコーヒー粉とお湯の入ったボウルを用意し、カッピングを始めます。

順々にJames Hoffmann氏とその担当者がカッピングを行い、各々のボウルについてコメントを付していきます。

そこで、その担当者は一つだけ素晴らしいコーヒーを発見しました。

そのコーヒーは、キャラメルやトフィー、柑橘系の風味が多分に感じられたそうです。

その他のボウルに関しては、パッとしない、フラットな味といったネガティブなものでした。

James Hoffmann氏がネタあかしし、その素晴らしいコーヒーもその他のパッとしない味のコーヒーも全て同じコーヒー豆、焙煎も同じものを使用したとのこと。

違うのは、その素晴らしいコーヒーと思ったものだけに、水道水ではなく、ボトルの水が使用されていました。

その違いは歴然としたものだったようです。

 

コーヒーには中性の水がいい TDSは80~120=Ph 7 

TDS (total dissolved solids)とは、水中に溶解されている物質の濃度のことです。

この記事では、TDS 80ppm~120ppmくらいがよいとしています。

その値は、Ph 7、つまり中性に近い量のミネラル分となるからのようです。

それ以上だと、ミネラルが多すぎて、エスプレッソマシーンに目詰まりがおきる可能性が高くなります。

それ未満だとコーヒーのフレーバーを引き出させるだけのミネラルがなく、パッとしない味になります。

 

このあたりの話は、Maxwell Colonna-Dashwoodバリスタワールドバリスタチャンピオンシップ2014年で詳しく語ってくれていたので、また追記したいと思います。

 

コーヒー豆屋の変遷

さて、本題ですが、最近急激に増えた焙煎豆屋、ロースターについてですが、現状はほとんどのコーヒー焙煎豆屋は生豆の選定とその焙煎について様々な思考をめぐらせています。

ひと昔前は、ただコーヒー豆は焙じるだけでした。

そして、深煎りが主流のスターバックスなどのシアトル系コーヒーが入ってきました。

そしてスペシャルティコーヒーの影響で、コーヒー豆の味を最大限発揮できる焙煎度合いを探す旅が始まりました。

酸味苦みのバランスのとれた中煎りが大体の主流でしたが、最近は北欧系のやや酸味が強くなる浅煎りがどんどん増えてきています。

 

さて、この先どうするのでしょうか。

 

水にまつわる商売で差別化

焙煎豆屋にとってそのまま煎り具合などの焙煎業務だけに注目しているのでは、もう差別化は難しいでしょう。

差別化の一つの可能性として、今まだ日本ではそれほど注目を浴びていない水に関するサービスを充実させるという方法もあると思います。

自分たちで最適な水を作り、ブランド化するのはもちろんのこと、サービス提供のかたちとして、コーヒー豆を買ってくれたお客さん限定でコーヒーを美味しく抽出できる水をサービスするなどもあるかもしれませんね。

 カフェについては、水のサービスの導入はもっと簡単で、メニューではどんな水で淹れられたものか書かれていたり、バリスタがちゃんと答えられるようになっているかもしれませんね。

 

将来が楽しみです。

 

水を気にしないのはもったいないこと

私はデイリーユースの割と安くてそこそこ美味しいコーヒー豆を家では普段常用します。

そして、家族でコーヒーを飲むときは、割と高価で高品質なコーヒー豆を使用することがあります。

高品質なコーヒー豆を使用するときは、水道水の水だけでなく、ボトルの水を使用してコーヒーを抽出して味の違いを楽しんだりします。

日本の水道水は、中性に近く、TDSもコーヒーの風味を損ないにくい良い値です。

それでも市販のボトルの水を使用すると味が鮮明になったりより好みの味に変化したりと、風味の変化が楽しめます。

パッとしないコーヒーだった場合でも、思い切って水を替えてみるというのも手だと思います。

一つの楽しみ方として、家でコーヒーを楽しむ場合も、水について気にしてみるのも楽しいですよ。