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イタリアエスプレッソ文化の革命家 Francesco Sanapo氏の4つのこと

更新日:2017年7月25日

 

via: http://www.dittaartigianale.it/en/archivio.aspx?tipo=2&cat=415

 

イタリアでは従来型(伝統的な)深煎りのコーヒー豆を使ったエスプレッソがまだまだ主流です。

そこに一石を投じているのが、 Francesco Sanapo(フランチェスコ・サナポ)氏です。

元丸山珈琲WBC日本人唯一の優勝者である井崎バリスタも大変影響を受けた人物です。

イタリアにフランチェスコ・サナポというバリスタがいます。彼はイタリアのフィレンツェで、スペシャルティコーヒーショップを経営しています。通常イタリアでは、エスプレッソは1ユーロほど、しかし彼の店ではエスプレッソを1.5ユーロで出しています。中には高い価格に怒鳴り散らすお客さまもいますし、こんな店に二度と来るか!といって帰るお客さまもいます。そんな状況でなぜ彼は商売を続けられるのでしょうか。それは彼に「イタリアの人々にスペシャルティコーヒーのもつ魅力を知ってほしい」という強い信念とビジョンがあるからです。

 

私はそんな強い信念をもった人間と肩を並べてこの業界で生き残っていかなければならないのか、と絶望しました。

引用:2015 | 丸山珈琲 MARUYAMA COFFEE

 

Francesco Sanapo氏は今では、生豆の買い付け、管理、焙煎、抽出からカフェ経営と顧客へのカスタマーサービスまで、すべての工程において精通した人物といえます。


なぜそういえるのか、井崎バリスタがなぜ「絶望」するほどの衝撃を受けたのか、その背景と理由について調べました。
Francesco Sanapo氏の4つのことについてお話ししながら、紐解いていきたいと思います。


その前に、彼が変えようとしているイタリアのコーヒー文化について確認しましょう。

 

 

イタリアのエスプレッソ文化

イタリアでは「コーヒー」というば、エスプレッソのことを指します。

イタリアで生まれたエスプレッソは、文化としてイタリアの地に根を深く張っており、発祥の地としての誇りがあり、中世の時代から115年以上続く伝統があります。

 

エスプレッソの起源は中世にまでさかのぼります。

エスプレッソマシーンは、1901年にLuigi Bezzera氏がエスプレッソの製造プロセスの特許を取得し、1906年のミラノ万国博覧会にイタリアのベゼラ社(G. BEZZERA S.R.L.)によって展示されたことを起点に広まっていきました。

イタリアから広まったエスプレッソは、今や世界中で楽しまれています。

我々ペーパーフィルター主流の国とは異なり、イタリアには家庭でもエスプレッソを常用します。

直下式のエスプレッソマシーンであるマキネッタ(下記参照)がスーパーでも売られています。

ビアレッティ 直火式 モカエキスプレス 2カップ

 

 

そんなイタリアでは従来型(伝統的な)深煎りのコーヒー豆を使ったエスプレッソがまだまだ主流で、根強い人気があります。 

 

イタリアコーヒー文化の革命家 Francesco Sanapo氏

 

Francesco Sanapo氏について知っておきたい4つのことがあります。

 

1. 3度も優勝したイタリアン国内バリスタチャンピオン

Francesco Sanapo氏は2010、2011、2013年と3度もイタリアンの国内バリスタチャンピオンシップで優勝しております。

この事実は、バリスタとしての腕前(抽出技術やコーヒーの知識)について素晴らしい評価がされていることを表しています。

 

ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)の結果は以下の通りです。

  • 2010年 18位
  • 2011年 25位
  • 2013年  6位

WBCでは、優勝者を決めるために3度評価を行います。

1ラウンドでは、50~55か国程度の代表者の中から上位12名がセミファイナルへ進むことができます。

また、その中で再度プレゼンテーションを行い、評価し、上位6名がファイナルステージへ進むことができます。

そして、ファイナルステージで6位までの順位を決めます。

Francesco Sanapo氏は2013年には、6位で大変名誉あるファイナリストの順位にまで上がりました。

 

2. イタリア初のQグレーダー

Qグレードコーヒー豆とは、

SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のカッピング採点基準に基づき80点以上の高評価を獲得した珈琲ロットに与えられる称号です。

引用:加藤珈琲店 世界規格 Qグレード 珈琲福袋 (お菓子・Qグァテ・Qホン・Qニカ・Qミャンマー) <挽き具合:豆のまま>

 

Qグレーダーとは、Qグレードコーヒー豆の認定ができる人物のことです。

 

Francesco Sanapo氏はQグレーダーとしてイタリアで最初に認定された人物です。
このことは、コーヒーのもつ風味特性を積極的に探して評価できることを表しています。
この経験が、Francesco Sanapo氏の知見を広めることとなり、生豆の買い付けにも活かされています。

3. Ditta Artigianaleの創設者

Francesco Sanapo氏は、2008年ごろから焙煎について真剣に勉強しました。
そして、2013年にDitta Artigianaleを創設しました。

Ditta Artigianaleは、マイクロロースター(少量ロットの焙煎所)兼コーヒーバーです。

他の伝統的なイタリアのコーヒーバー、バールとは異なり、スペシャルティコーヒー豆を専門で扱っています。

 

コーヒー界の著名人からも支持されるDitta Artigianale

冒頭の井崎バリスタだけでなく、他のコーヒー界の著名人から信頼を寄せられているコーヒーバーなのです。

Ditta Artigianaleのコーヒーは、イタリアのバリスタ大会だけでなく、他国のバリスタ、たとえばWBC2014 6位のCharlotte Malavalバリスタなども愛用して大会に挑むほどのクオリティを有しています。

それだけでなく、WBC2014 8位のGiacomo Vannelliバリスタも「おすすめのコーヒーは屋は?」と聞かれて「Ditta Artigianale」と回答しています。

同業者のバリスタから厚い信頼を置かれているだけでなく、バリスタ大会の大御所Sonja Grant氏からもDitta Artigianaleのコーヒーは愛用されています。

 

そして、2017年Ditta Artigianaleはイタリアのバリスタチャンピオンを輩出しました。

2017年イタリアのバリスタチャンピオンはDitta Artigianaleで働いているFrancesco Masciullo氏です。

このようにカフェとして成功を収めているということは、多くのお客さんを満足させることができるバリスタを育成することができ、カスタマーサービスが優れていることを示しています。

 

4. 強い信念


Francesco Sanapo氏は「挑戦していること」について以下のように述べています。


「私の挑戦し続けていることは、コーヒーの世界を深く掘り下げることです。
成長し、学んでいくことは止めることができません。そしてそれが私の人生の一部となっていくのです。

今後も引き続き自国イタリアでスペシャルティコーヒーを広める活動を行います。新たなバリスタとコラボレーションしたり、新しいカフェを作っていきます。2013年より、Barista & Farmer projectを始動しました。

液体のコーヒーになるまでのその裏にあるリアルな人生についてコーヒーのプロフェッショナルたちに教育していくことが目標です。もちろん、コーヒーのプロフェッショナルだけに目を向けているわけではありません。

その目標の真意は、お客様にコーヒーの世界が、どれだけ美しく、広大で奥深いものかを理解してもらうことにあります。」

via: Francesco Sanapo: I feel that it's necessary to open our minds and look around us

 

最後に

イタリアでは従来型(伝統的な)深煎りのコーヒー豆を使ったエスプレッソがまだまだ主流で、根強い人気があります。 

Francesco Sanapo氏はその伝統的なコーヒー文化を尊重しつつもスペシャルティコーヒーを広めるというイノヴェーションを起こそうとしています。

他の場所ならスペシャルティコーヒーを広めるということ自体どうってことないことかもしれません。
ただ、イタリアでは、エスプレッソに関して特別な思いがあるのです。

「イタリアのエスプレッソ文化」で確認したように、イタリアのコーヒー文化は、伝統と誇りが混じった文化です。

国技である相撲があるのに、日本でモンゴル相撲を流行らせようとしているようなものです。

それは反発もあるでしょうし、受け入れられないことも多いでしょう。

イタリア人以外の人にとっては考えが及ばないレベルなのかもしれません。

 

だからこその井崎英典氏のこの言葉です。

「私はそんな強い信念をもった人間と肩を並べてこの業界で生き残っていかなければならないのか、と絶望しました。」

 

Francesco Sanapo氏は今では、生豆の買い付け、管理、焙煎、抽出からカフェ経営と顧客へのカスタマーサービスまで、すべての工程において精通した人物といえます。

彼の行うすべての行動が彼の強い信念に向かっているように感じます。

彼のしていることはただ単においしいコーヒーを広めているわけではないと思います。

コーヒーは1日60億杯飲まれているという計算になるくらい大きなビジネスです。

関わっている人が多いだけ、グレーなビジネスや、汚いビジネスをしている可能性はまだまだあるでしょう。

Francesco Sanapo氏は美味しいコーヒーのその背景に存在する真面目に働くコーヒー生産者に対しても多くの人が感謝し、恩恵が行き届くような流れに変えようとしているに感じます。

彼なら可能かもしれない、そういう希望の星となっているからこそ、他のバリスタやコーヒー業界の著名人からも支持されているのでしょう。

次回はイタリアエスプレッソ文化の革命家Francesco Sanapo氏の夢を体現したという、Ditta Artigianaleについて深く掘り下げて、具体的にどのようにしてコーヒー文化に変化を起こそうとしているのかをお話したいと思います。

 

参考資料

2015 | 丸山珈琲 MARUYAMA COFFEE

Bezzera

Ditta Artigianale

Ditta Artigianale: One of My Favourites in Florence - Diary of an Expat Girl

Barista Champion of Italy

Francesco Sanapo | Il blog di Francesco Sanapo - WBC - Melbourne 2013

Ditta Artigianale's coffees on the podium of the Italian and French barista championships - Comunicaffe International

Francesco Sanapo: I feel that it's necessary to open our minds and look around us | Soyuz Coffee Roasting

WBC結果関連

http://www.worldbaristachampionship.org/wp-content/uploads/2015/02/2010_WBC_Ranking_Order.pdf

http://www.worldbaristachampionship.org/wp-content/uploads/2015/02/2011-WBC-Ranking-Order.pdf

http://www.worldbaristachampionship.org/wp-content/uploads/2015/02/2013.05-MEL-WBC-RANKINGS.pdf